- 以下のリンクをクリックして、ソリッド・ろう付けエンドミルの選択手順について学習しましょう!
工具材種:
工具材種の選択:工具母材
はじめに工具母材を選択します。
ソリッドエンドミルとろう付けエンドミルの工具母材には、超硬合金と高速度工具鋼があります超硬ソリッドエンドミルと超硬ろう付けエンドミルは、剛性の劣る機械や老機械で使用するとチッピングが起きたり折損したりしますので、剛性が十分あるときでなければ使用するメリットが得られません。
また、超硬合金は高速度工具鋼に比べて耐摩耗性に優れているため、主軸が高速回転する機械に使用します。ハイスエンドミルは、超硬ソリッドエンドミルより靱性が高いので欠けにくく工具単価が安くなりますが、切削速度が遅く加工能率が下がります。その選定の目安を下表に示します。
工具材種の選択: 鉄系被削材
次に被削材により工具材種をせんたくします。
炭素鋼、合金鋼、プリハードン鋼および焼き入れ鋼の鉄系被削材はそのかたさに応じて工具材種を選択します。
40HRCであれば高速度工具鋼でも可能ですが、一般的には30HRC以上の加工には超硬合金を選択します。超硬合金を選択する場合、かたさが55HRC以下であれば汎用(Al,Ti)Nコーテッド超硬合金を選択しますが、その中でかたさが40HRC以下に限定できるのであれば、耐溶着性重視の低硬度加工用コーテッド超硬合金を使用することにより工具寿命の延長を図ることができます。(下表を参照)
ステンレス鋼、チタン合金および耐熱合金を切削する工具材種は、一般的な(Al,Ti)Nコーテッド超硬合金ですが、さらに工具形状は切削熱を抑えるために切れ味の良いものを選択する必要があります。
工具材種の選択:非鉄系被削材
非鉄系の被削材はその種類に応じて工具材種を選択します。 銅合金を加工するには銅合金との摩擦係数が小さくて溶着しにくいCrNコーテッド超硬合金が適しており、グラファイト、GFRP*およびCFRP*を加工するには硬質で耐摩耗性に優れたダイヤモンドコーテッド超硬合金が適しています。アルミ合金はノンコート超硬合金やノンコート高速度工具鋼でも十分ですが、アルミ合金との摩擦係数が小さくて耐溶着性に優れているDLCコーテッド超硬合金を使えばより長寿命、高能率の加工ができます。(下表を参照)
工具材種を選択した後は工具諸元を選択します。
外周刃形状の選択
外周刃の形状は仕上げのレベルを考慮して選択します。
仕上げ面あらさが最大高さRz25s程度の荒削りにはラフィング刃を選択します。ラフィング刃を使用すると、一般に普通刃の3~5倍の加工能率が得られることもあります。
仕上げ面あらさが最大高さRz12.5s程度の中仕上げには中仕上げ刃*(ニック付き刃*)を選択します。中仕上げ刃を使用すると
普通刃より加工能率が上がりますが、ステンレス鋼や調質鋼では普通刃との差が出にくくなります。
仕上げ加工には、普通刃を選択します。
刃数の選択
ソリッドエンドミルは一般的に刃数が多い方がチップポケットが小さく剛性が高く設計されています。また、切りくず排出性が悪くなりますが、加工精度は良くなります。逆に刃数が少なくなると、切りくず排出性が良くなり、加工精度が悪くなる傾向があります。
これらを基準にした刃数を選択する際の目安を以下の表に示します。
ねじれ角の選択
ソリッドエンドミルのねじれ角は一般に30°ですが、ねじれ角を大きくすると切れ味が良くなり、ねじれ角を小さくすると加工面のたおれが小さくなります。ねじれ角の大きいエンドミルを使用するのは、切削抵抗の小さいアルミ合金を加工するときや、切れ味を必要と知る高硬度材や難削材を加工するときであり、ねじれ角の小さいエンドミルを使用するのは、壁面精度を重視するときや、切れ刃強度の強いエンドミルを使用するときです。
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