被削材による刃形の選択
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軟質非鉄金属の場合
アルミ合金など展延性の大きい軟質非鉄金属を切削加工する場合は、大きなすくい角と通常より大きめの逃げ角をもつシャープな刃形を使用します。
これには切れ味に優れるDP刃形が最適です。切れ味が悪い刃形を使用すると、すくい面や逃げ角に切りくずが溶着し、切れ刃のチッピングや欠損が起きたり、バリの発生や必要な仕上げ面が得られないなどの諸問題が発生します。
鋳鉄の場合
鋳鉄は鋼に比べ切削抵抗が小さく切りくずも細かく分断されるので、切れ味や切りくず処理を考えるよりも、両面使用インサート(ネガティブ形インサート)による経済的なメリットを優先させることができます。この場合はDN刃形を使用します。
鋳鉄のようなもろい材料の場合には、コバ欠けに注意が必要です。コバ欠けとは右の図のようにカッタの抜け際(加工端)で、切削力に耐えられず被削材にクラックが発生して細かい欠けができることです。このような時は、コバ欠け対策刃の使用も1つの方法です。これは抜け際のコーナ部を鋭角(切込み角)にしてコバの強度(厚み)を持たせ、クラックが発生しにくくしたものです。
鋼の場合
鋼切削は切りくずが長く伸びるやすいので、切りくず処理が重要なポイントです。また、インサート寿命や加工精度など、さまざまな要求に応えられる刃形が求められます。これには、切れ味に優れ、良好な切りくず処理性が得られるNP刃形が適しています。
鋼の切削加工の場合、生成される切りくずの形状は、フェースミーリングカッタの刃形によって円すい状、円筒状または渦巻き状となります。NP刃形では円筒状になり、フェースミーリングカッタの外へ排出されるので問題ありませんが、DN刃形とPN刃形では完全な渦巻き状になり、切りくずがカッタの内側に入り込んでトラブルの原因になりがちです。
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