コーナ角は、工具寿命に影響を及ぼします。
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コーナー角と切削抵抗
フェースミーリングカッタの切削抵抗は、切れ刃のコーナ角によって変化します。右図にコーナ角0°の肩削り形とコーナ角15°と45°の平削り形の切削抵抗値を示します。
コーナー角と切削抵抗
ここで背分力(フェースミーリングカッタを主軸方向へ押し上げようとする力)に注目してください。コーナ角45°のフェースミーリングカッタが一番大きくなっています。これはコーナ角が大きい場合、テーブル送りによって生じる力が背分力方向へも働いているためです。一方コーナ角0°の肩削りでは、背分力がマイナス方向に作用しています。コーナ角0°の場合はテーブル送りによって生じる力が背分力へ分散されないため、アキシャルレーキ角(軸方向のすくい角)が大きいほど、被削材を持ち上げる方向へ作用することになります。
薄肉構造物など剛性のない被削材を加工する場合、コーナ角の大きなフェースミーリングカッタ(45°など)を使用すると、背分力の反力によって被削材がたわみ、加工精度低下の原因となります。このような場合は、コーナ角15°のフェースミーリングカッタの使用が適切です。
- 図中の角度をクリックして、コーナ角の違いによる背分力の変化を見てみましょう!
コーナ角と切りくず厚み
切込み量と1刃あたりの送り量fzが一定の場合、右図のようにコーナ角CHが大きいほど切り取る厚みhは薄くなり(45°では0°の7割程度)、単位切れ刃長さあたりの切削抵抗が減少して工具寿命が長くなります。一方、切り取る厚みhがあまり大きいと、送り分力の増加によるビビリ振動が発生し、工具寿命低下の原因になります。
- 図中の角度をクリックして、コーナ角の違いによる切り取る厚みの変化を見てみましょう。
コーナ角とすくい面摩耗
下表は、コーナ角の違いによる刃先の摩耗形態です。コーナ角0°と45°では、0°の方がすくい面摩耗が大きくなっています。これは、切りくずが厚く、切りくずによる摩擦力が大きいことが原因です。すくい面摩耗が大きく発達すると刃先の強度が落ち、チッピングや欠損が発生して工具の寿命に至ります。
被削材: JIS SNCM439 287HB
工具: D1=125mm
インサート: M20 超硬合金
切削条件: ap=3.0mm, ae=110mm, fz=0.2mm/tooth
切削油剤: 乾式
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