焼入れとは、金属材料を硬化させる熱処理のことをいいます。焼入れは、以下の工程で行われます。
加熱(変態点より高い温度に加熱)
鋼を変態点より高い温度に加熱します。亜共析鋼であればA3、過共析鋼であればACM変態点以上の温度に加熱します。この過程を一般にオーステナイト化過程といいます。
冷却(急冷)
鋼を十分加熱した後、冷却媒体の中に入れて急速に冷却します。使用される冷却媒体は、焼入れ後の鋼に求められる硬さや組成、寸法によって変わります。
冷却媒体には、水や塩水、油、空圧などがあります。オーステナイト組織を冷却すると、マルテンサイト組織に変化します。マルテンサイト化した鋼は非常に硬いため、そのまま使われることはありません。そのため、焼きもどし処理が必要になります。
焼入れすることによるメリット:
- 強度の向上
- 硬度(耐摩耗性)の向上
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= 硬くてもろい鋼
マルテンサイトの核生成
図はマルテンサイトが発生する様子を表しています。鋼を急冷しマルテンサイト変態開始点を越えると、マルテンサイト粒子が生成され、冷却し続けると粒子は成長し続けます。
マルテンサイトの成長過程
グラフは鋼を急冷し、MS点(マルテンサイト変態開始温度)およびMF点(マルテンサイト変態終了温度)を通過したときの鋼の組織の変化を表しています。マルテンサイトは硬くもろいため、そのままでは使用できません。
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