仕上げ面あらさに影響を与える要素 Mitsubishi

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はじめに

切削抵抗

ボーリングバーのビビリ振動と切削抵抗

ターニング工具の選択

外径加工におけるインサートの選択
外径加工におけるバイトホルダの選択
内径加工におけるインサートの選択
内径加工におけるボーリングバーの選択

切削条件の変更による影響

工具形状の変更による影響

ホーニングの重要性

切りくず処理

切りくず処理に影響を及ぼす要因
チップブレーカの機能
チップブレーカ設計の基本的考え方

仕上げ面あらさに影響を与える要素

切れ刃の損傷と対策

トラブルシューティング

成果確認テスト

仕上げ面あらさに影響を与える要因は、切れ刃の形状と精度、構成刃先の有無、工具の摩耗、工作機械の運動精度、切りくず生成機構、切削条件など様々です。また、加工の形式（外径、内径、その他）によっても異なりますが、ここではターニングの仕上げ面あらさに大きな影響を与える要因について説明します。 - 以下のリンクをクリックして、さらに学習しましょう。

良好な仕上げ面を得るために最も大切なのは、構成刃先を発生させないことです。これには工具材種の選定が重要な役割を果たします。構成刃先は、加工硬化した被削材が切れ刃の先端部に付着し、それ自体が刃先となって被削材を切削するものです。付着した被削材（構成刃先）は、切れ刃より仕上げ面方向に突き出るため、被削材を削りすぎる現象（過切削状態）が起きます。また構成刃先は成長・脱落を繰り返すため、仕上げ面を非常に悪化させます。このように構成刃先は高精度加工、仕上げ面あらさの向上に悪影響を与える最大の要因です。構成刃先を防ぐには、被削材との親和性が低い工具材種を選定します。鋼の切削加工ではTiC（炭化チタン）やTiN（窒化チタン）を主成分にしたサーメットが有効です。TiCやTiNはWC（炭化タングステン）に比べ鉄への溶解度が小さく、溶着の発生を抑えます。

工具形状も仕上げ面あらさに影響を与えます。工具形状のうち最も影響が大きいのは、インサートのコーナR寸法です。切削時にカエリやムシレなどがなく、機械や工具の精度も全く変化しない状況で、コーナR形状が完全に転写された仕上げ面性状のことを理論仕上げ面あらさと呼んでいます。理論仕上げ面あらさは、送り量とコーナRによって決まります。仕上げ面あらさは、送り量が大きいほど大きく（粗く）なり、コーナRが大きいほど小さく（滑らかに）まります。工具のすくい角を大きくすることも、仕上げ面あらさの改善に役立ちます。切れ味が向上するため、凝着（被削材と工具の接触面で、互いの表面の原子が及ぼし合う結合力により被削材が工具に付着する現象）が起きにくくなり、ムシレの発生を抑えることができるためです。切れ味の変化はホーニングによっても起きるため、ホーニングは小さい方が良好な仕上げ面を得やすいといえます。またホーニングの研削粗さが加工面へ転写されることも考えられます。これを防ぐには、ホーニング粗さが小さいことが重要です。ただし転写性は被削材質により大きく変化する上、切削条件も影響します。

理論仕上げ面あらさは送り量に左右されます。送り量を小さくすれば、仕上げ面あらさは改善されます。しかし小さくしすぎると加工能率を低下させますから、仕上げ面あらさを悪化させない程度の送り量を設定することが重要です。また実際の切削加工では、溶着や構成刃先の発生をいかにして防ぐかが重要なポイントとなります。構成刃先を付着させないためには、切削温度を被削材の再結晶温度*以上に保つことが重要です。こうすれば構成刃先は軟化し、切れ刃に付着することはありません。つまり切削速度を上げれば構成刃先が消滅し、仕上げ面あらさの向上に役立つということです。切削速度ほどではありませんが、送り量と切込み量の増加も切削温度を上昇させるため、一般的に仕上げ面は改善されます。

仕上げ面を向上させるために、ワイパー刃付きのものが登場しています。ワイパーインサートのメリットは仕上げ面向上だけではありません。仕上げ面あらさを維持しつつ送り量を上げることができるため、加工能率の劇的な向上、ひいては加工コストの低減につながります。さらに、送り量を上げることで切りくず処理を向上させ、生産量に対するインサートの使用量が減るなど、まさに良いことづくめの夢のようなインサートです。しかしながらデメリットもあります。切削抵抗が上がるため、軸物のような被削材、低剛性な工作機械やクランプではビビリ振動が発生します。またワイパー効果は水平と垂直方向にしか機能しないため、倣い加工には不向きです。これらに留意して使用すれば、劇的な生産性の向上が実現できます。

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粗さ曲線からその平均線の方向に基準長さだけを抜き取り、この抜き取り部分の平均線の方向にX軸を、たて倍率の方向にY軸を取り、粗さ曲線をy=f(x)で表したときに、次の式によって求められる値をマイクロメートル（μm）で表したものをいう。