ターニング応用編
チップブレーカの機能 チップブレーカの機能は、切りくず処理性の向上と切削抵抗の低減にあります。この2つの機能がよく調和しているチップブレーカほど高性能といえます。 チップブレーカで切りくずを良好な状態に破断できれば、切りくずの巻きつきや、激しい振動による工具損傷などの心配がなくなります。またチップブレーカは、切削抵抗やその変動幅にも影響があります。切削抵抗の低減により、ビビリ振動によるチッピングや切れ刃欠損が防げる他、切れ刃にかかる切削負荷と切削熱を減少させ、工具摩耗の進行を遅らせることができます。 では、切りくずを破断(折断)するにはどうしたら良いでしょうか。切れ刃の近くに段や溝状のチップブレーカをつけることによって、切りくずは曲げられ(カールされ)て流れ出ることになります。切りくずの折断はこの曲げられて出てきた切りくずが、被削材にぶつかったり、切れ刃の逃げ面に当たったときに起こります。つまり流れが妨げられた切りくずは大きくたわんで、曲率半径が大きくなり、カールとは逆の曲げモーメント*が働くことによって、折断されます。または切りくず自体がうず巻き状にカールしていき、切りくずの自重によっつて折断されることもあります(切りくず破断要因参照)。あるいはチップブレーカによって曲げられた切りくずの曲率半径が極端に小さくなるような状況ではこのときに生じた曲げモーメントで折断されることもあります(チップブレーカによる作用参照)。