切削条件の変更による影響 Mitsubishi

はじめに

切削抵抗

ボーリングバーのビビリ振動と切削抵抗

ターニング工具の選択

外径加工におけるインサートの選択
外径加工におけるバイトホルダの選択
内径加工におけるインサートの選択
内径加工におけるボーリングバーの選択

切削条件の変更による影響

工具形状の変更による影響

ホーニングの重要性

切りくず処理

切りくず処理に影響を及ぼす要因
チップブレーカの機能
チップブレーカ設計の基本的考え方

仕上げ面あらさに影響を与える要素

切れ刃の損傷と対策

トラブルシューティング

成果確認テスト

切削条件の選択ターニング加工では、切削速度、送り量、切込み量などの切削条件が工具寿命に影響します。 - 以下のリンクをクリックし、さらに学習しましょう。

工具寿命に最も影響が大きいのは切削速度です。切削速度が上がると切削温度が上昇し、工具寿命は極端に短くなります。一方、切削速度が遅すぎても工具寿命は短くなります。これは、低速領域では切れ刃に溶着が発生し、チッピングや欠損などのトラブルが起きやすくなるためです。また低速領域では加工精度が悪くなります。これも、切れ刃に溶着や構成刃先が発生するためです。

被削材： SNCM1 工具： P20 超硬合金切削条件： ap=1mm. f=0.40mm/rev. Tc=5min.

被削材： S45C 180HB 円板 φ80 工具：（インサート）CVDコーテッド SNMN120408 （ホルダ）N15R-44 切削条件： vcmax = 152.7m / min (n=500minˉ¹) ap = 0.5mm f = 0.1mm / rev

回転速度が一定なので、切れ刃が円板の中心に近づくにつれて切削速度が低下します。やがて低速領域（a）に達すると構成刃先が発生し、その瞬間に表面粗さが著しく劣化します。被削材の仕上げ面は、表面粗さの劣化に伴って白濁*しています。この白濁領域は工具材種によって大きさが異なります。被削材との親和性が低い工具材種ほど構成刃先の発生領域が低くなるため、サーメットやCVDコーテッド超硬合金は白濁領域が小さく、超硬合金は白濁領域が大きくなっています。

被削材： S45C 180HB 工具：（インサート）CNMG120408 （バイトホルダ）PCLNL2525M12 切削条件： vcmax = 200m / min f = 0.25mm / rev ap = 0.5mm f = 800minˉ¹

切削速度の次に工具寿命に影響を与えるのは送り量です。送り量を小さくすると逃げ面摩耗が大きくなり、工具寿命が短くなります。これは、被削材の加工硬化した部分を削ることになるからです。逆に送り量を大きくすると、切削温度の上昇により逃げ面摩耗が大きくなりますが、工具寿命への影響は切削速度を上げることに比べると小さい場合がほとんどです。送り量を大きくすると、工具寿命がそれほど低下せずに加工能率が向上するので、加工コストの低減に効果的です。

被削材： SNCM431 工具： P10 超硬合金切削条件： vc=200m/min ap=1.0mm Tc=10min

工具寿命に一番影響が少ないのは切込み量です。ただし送りの場合と同様、微小切込みでは、被削材の加工硬化層を削ることになり（こすり現象）、工具寿命が短くなる原因となります。また鋳肌や黒皮切削のときは、機械動力が許す限り切込み量を大きくしないと、不純物の含まれた被削材の硬い表面を削ることになり、刃先にチッピングや異常摩耗を発生させる原因となります。

被削材： SNCM431 工具： P10 超硬合金切削条件： vc=200m / min f=0.02mm/rev Tc=10min

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