加工穴の精度と品質 Mitsubishi

品質の良い穴あけを行うには、いくつかの要因があります。最も重要な要因として、穴位置精度、真直度、拡大代、真円度、穴壁面粗さ、の5つがあります。 -より詳しく学習するために、リンクをクリックしましょう！

ドリルであけた穴がどの程度まっすぐなのかの度合は真直度で表します。深い穴を加工する場合、スタブドリルで下穴加工を行います。その後に深穴用ドリルで穴をあけると、穴の曲り量は下穴なし加工よりも、約20～30%に減少します。真直度を向上させるには、下穴深さをL/D=1～3まで精度よくまっすぐに加工することが大切です。

穴位置精度とは、予定した位置と実際に加工された位置の差をいいます。ドリルの食付き性が悪いと予定した位置に穴があかず、穴位置のバラツキが発生します。このような場合は、X型シンニングされたドリルやスタブドリル*の使用が有効です。また、前加工でセンタドリル*を用いることやガイドブッシュ*による位置決めを行うこともあります。

被削材： S50C 230HB 切削条件： vc = 20m / min, fr = 0.2mm / rev dl = 12mm, ld = 25mm （貫通穴）切削油材：湿式

実際の穴径とドリル径の差を拡大代といいます。穴の拡大代に影響する要素は、心厚、チゼルの偏心*、リップハイト*に起因する2枚の切れ刃の不均一性です。リップハイトの増加と拡大代の増加はほぼ比例しますので、ドリルの取付や振れや再研削時には注意が必要です。（リップハイトは0.02mm以内）一般的には、ハイスドリルの拡大代はドリル径の約1%です。超硬ドリルの場合はドリル径に関わらず20～40μmが目安です。

被削材： SNCM439 310HB 切削条件：ハイスドリル10.5mm vc = 18m / min, fr = 0.12mm / rev ld = 32mm （貫通穴）切削油剤：湿式

各種工具材料による拡大代拡大代は工具材料による影響も受けます。上図はドリル種類による拡大代の違いを示しています。ドリル加工を行うとき、これらのことを念頭に置く必要があります。切削条件と工具：被削材： S50C 180HB 1) ハイスドリル (Ø10mm): vc=20m/min, fr＝0.2mm/rev. 2) 超硬ドリル(Ø10mm): vc=60m/min, fr=0.25mm/rev. 3) ろう付けドリル(Ø20mm): vc=60m/min, fr=0.25mm/rev. 4) 刃先交換式ドリル(Ø20): vc=100m/min, fr=0.08mm/rev.

ドリルの先端は、チゼルエッジの両端が交互に瞬間回転中心となるような運動を繰り返しながら切削するため（歩行現象）、穴が真円ではなく多角形になることがあります。穴を真円に近づけるには、X型シンニングのドリルを使用することや、ドリルの回転速度を下げ送り量を増やす対策が有効です。

穴壁面の粗さに影響する要因には、切れ刃のバランス、切りくずの排出状態、およびマージン部の溶着があります。切削中の歩行現象により、穴壁面にライフリングといわれる螺旋状のマークが付き、面が悪化することもあります。真円度対策と同様に切削条件の変更やリップハイト、チゼルの偏心を小さくすることが重要です。

被削材： S50C 180HB. 加工条件： 1) ハイスドリル (φ10mm): vc=20m/min, fr＝0.2mm/rev. 2) 超硬ドリル (φ10mm): vc=60m/min, fr=0.25mm/rev. 3) ろう付けドリル (φ20mm): vc=60m/min, fr=0.25mm/rev 4) 刃先交換式ドリル (φ20mm): vc=100m/min, fr=0.08mm/rev

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