切削抵抗とは?
切削抵抗は、被削材やバイトの変形を引き起こすとともに、切削に使う動力、被削材の保持方法、加工手順などを決める重要な要素です。
図に、切れ刃と被削材の相対関係を示します。
切りくずの塑性変形は、主として刃先から加工面
に対しての角度φの方向に発生します。
この角度をせん断角といいます。
W工具が被削材を削って切りくずを生成するとき、被削材は大きな塑性変形を受けています。
このとき工具にも、塑性変形に要する力がかかっています。
この力を切削抵抗といいます。
切り取る厚み(h)
切りくず厚み(hc)
せん断角
被削材
切れ刃
切削の断面図
切削抵抗を下げるには
前述のとおり、切削抵抗を下げるにはせん断角が大きくなるようにしなければなりません。せん断角は主に、被削材の延性、すくい角、すくい面の摩擦によって決まります。すくい面の摩擦は、被削材と工具材質の組み合わせに加え、温度によっても変化します。つまり、工具材質、すくい面粗度、切削速度、切削油剤などが影響を与えることになります。
以上をまとめると、切削抵抗を減少させるには次のことが有効です。
-すくい角を大きくする
-被削材と新和性の低い(溶着しにくい)工具
材質を選ぶ
-切削速度を上げる
-切削油剤を使用する
せん断角
ここで、切り取る厚みhを固定したまま、
せん断角を変化させて見ましょう。
せん断角が大きくなると、切りくず厚みhc
は減少します(薄くなります)。
逆に、せん断角が小さくなると、切りくず
厚みは増加します(厚くなります)。
Ch=hc/h
この切り取る厚みと切りくず厚みの比を切りくず圧縮比Chといい、左の式で求められます。
主分力、送り分力、背分力
切削抵抗が発生する方向は、被削材の材質、工具の形状、切り込み量、送り量、切削速度などによって左右されるため、直接測定することは非常に困難です。
そこで代わりに、切削速度、送り、切り込み方向の3つの方向に分けて測定します。
この3つの力を切削抵抗の3分力と呼び、それぞれの力を主分力、送り分力、背分力と呼んでいます。
x