エンドミル加工を高速・高精度化し、段取り時間を短縮するためには、ツーリング*について検討することが重要になります。
エンドミルを取付けるホルダのシャンクのうち、BTシャンクは広く使われているシャンクです。このほかにも二面拘束クランプで高精度加工に対応したHSKシャンク(ISO規格)が採用されることがあります。
さらに日本では、ISO規格を基本に、主軸ドライブキーと工具ホルダのキー溝の寸法と公差をアレンジして、そのすきまを最小限に設定し、刃先位置を高精度に維持したICTM規格のHSKシャンクを、複合加工機ではよく使っています。ミーリングでは、溝や平坦部の位置・寸法をより正確に維持し、ターニングでは刃先高さを高精度に維持できるので、加工径のバラツキを抑え、端面旋削時のヘソ残りが発生する可能性を減らすことができます。
シャンクの種類:
ホルダ:
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BTシャンク
ATCアームのつかむ部分とプルスタッド*があるのが特徴。プルスタッドの形状は、機械メーカにより異なります。
NTシャンク
テーパ角度、寸法はBTシャンクと同じですが、ホルダの引きねじを機械のドローバーで引き込み、機械に取付けます。
MT シャンク
テーパ角度がゆるいために求心性に優れています。タング式の1型、引きねじ式の2型があります。
HSKシャンク(ISO)
テーパ部の長さを短くし、中を中空にすることにより、機械主軸に引き込む力でテーパ面を外側に弾性変形させ、テーパ面と端面を同時に密着させる方式(二面拘束クランプ)です。求心性が良く、高速対応に効果的です。
テーパコレットチャック
振れ精度:
0-0.02 (mm)
4D先端
特徴:
- 把握部がテーパになっている。
- 振れ精度が良好。
- 超硬エンドミルに最適。
- 把握力はø6で29Nm、ø16で69Nm程度。
- エンドミルをテーパコレット*(スプリングコレットとも呼ぶ)に差し込んで取付ける。
ミーリングチャック
振れ精度:
0.005-0.02 (mm)
100 mm先端
特徴:
ニードルローラを用い金属を弾性変形させて把握する方法で、ロールロックチャックとも呼ばれます。把握力は25Nmと高く、エンドミルをストレートコレット*に差し込んで取付けます。
ハイドロチャックホルダ
振れ精度:
0.005-0.015 (mm)
100 mm先端
特徴:
- 油圧を用いて把握する方法。
- 振れ精度は良好。
- 作動油の温度変化、漏れおよび内径の薄さから来る寿命など、非常にデリケートなチャックです。
モールステーパホルダ
振れ精度:
0-0.025 (mm)
150 mm先端
特徴:
ゆるいテーパ角度のためにテーパ当たりが良いと、ほとんど振れのない高精度が実現できます。
サイドロックホルダ
振れ精度:
0.02-0.04 (mm)
100mm先端
特徴:
一般に工具の振れ精度が悪いが、ロックボルトの方向を考慮し、内径を偏心加工して振れ精度を向上させているホルダもあります。
シュリンク式ホルダ
振れ精度:
-
特徴:
ホルダを加熱・冷却して着脱する方式で、同径のスプリングコレットより高い把握力が得られ、振れ精度、剛性に優れています。スリム形状のため、被削材の壁面に接近して加工でき、小径エンドミルによる金型の深彫り加工に用いられます。
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