エンドミルは種々の方法で分類されます。
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刃数
エンドミルの刃数は、主なものとして2枚刃、3枚刃、4枚刃、6枚刃があります。
刃数の違いは、切りくずを収容するポケット(溝)の面積の違いにつながります。
チップポケットは削った切りくずを一時的に収容する溝であり、その溝の面積は、エンドミルの回転円筒断面を100%とすると下図のようになります。
刃数が増えるにつれて、溝面積が狭くなり、刃部の面積が増して剛性が向上し、それに応じて特徴と用途が決まります。(下表参照)
チップポケットの断面積比
刃数によるエンドミルの特徴と用途
切りくず排出性良好
縦送り加工容易
切削抵抗が小さい
剛性が低い
溝、側面加工、穴あけ加工等使用用途が広い
切りくず排出性良好
縦送り加工容易
外径の測定が難しい
溝、側面加工、重加工、仕上げ加工
剛性が高い
切りくず排出性が悪い
浅溝。側面加工、仕上げ加工
剛性が高い
切れ刃の耐久性に優れている
切りくず排出性が悪い
高硬度材加工
浅溝、側面加工
刃長
エンドミルをチャックに取付けて加工すると、切削抵抗を受けて図に示すようなたわみが発生します。そのたわみ量は、切削抵抗に比例し、エンドミルのチャックから先端までの長さ、すなわち突き出し長さの三乗に比例します。
たわみ量を少なくして加工面の垂直度すなわち加工面のたおれを良くするには、エンドミルの突き出し長さをできるだけ短くする、つまり加工部の長さより少し長いエンドミルを使います。
このためエンドミルの刃長は一般に、
a. エキストラショート
b. ショート
c. ミドル
d. セミロング
e. ロング
f. エキストラロング
に区分して呼びます。
エンドミルのたわみ
ねじれ刃
エンドミルのねじれ方向は一般に右ねじれであり、取付け側(シャンク側)から見て、時計回り方向に回転(右回転)させて使います。右回転させて使う切削工具を右刃といい、反時計回り方向に回転(左回転)させて使う切削工具を左刃と呼びます。ここでのエンドミルの表記は右刃右ねじれです。
左刃左ねじれ
左へ30°
左ねじれは、通常使用しない。
右刃右ねじれ
右へ30°
シャンク側から見て右回転させる。
エンドミルのねじれ角は一般に30°です。ねじれ角を小さくすると切れ味が悪くなり、ねじれ角を大きくすると切れ味が良くなります。また、ねじれ角を大きくすると、エンドミルが抜ける方向に働く力が大きくなって抜けることがあります。ねじれ角によるエンドミルの特徴と用途を表に示します。
加工面のうねり*はないが、切れ味が悪い。主にフォームド刃、テーパ刃等に修正して使用する。
ハイスエンドミルの場合、加工面のうねりを小さくするときに用いる。キー溝*用エンドミル等がある。
加工精度、切れ味のバランスが良いので、汎用エンドミルに使用する。
切れ味が良い。ハイスエンドミルの場合、加工面のうねりが大きくなる。ステンレス鋼などの難削材や高硬度材料の切削に適している。
ねじれ角
外周刃
エンドミルの外周刃の形状、種類および特徴を下表に示します。
外周刃の形状
もっと汎用的で、溝加工、側面加工、肩削り加工*などに用いる。また荒削り、中仕上げ、仕上げのいずれの場合にも用いる。種類が多い。
傾斜部やいんろう部の加工に用いる。普通刃で加工した後のテーパ加工に用いる。
刃が波状になっていて、切りくずを小さく分断し、切削抵抗が小さい。荒削りに適している。仕上げ面は荒いので、仕上げには向かない。すくい面研削を要する。
例として、コーナR加工用エンドミルを示しているが、加工部の形状に合った刃形にしたものをいう。
特注品の場合が多い。
汎用的で、溝加工、側面加工などに用いる。縦切り込みはできない。研削が両センタ指示なので再研削精度が良い。
汎用的で、溝加工、側面加工などに用いる。縦切込みができ、刃数が少ないほど縦切込み性は、良い。片持ちでの再研削。
底刃の回転軌跡が球(ボール)になるエンドミル。曲面加工に用いる。
隅R加工や平坦部の加工に用いる。平坦部の加工では、ボールエンド刃よりピックフィードを大きくできるので加工能率がアップする。
底刃
エンドミルの底刃形状、種類および特徴を下表に示します。
このうち、センタカット刃は、長刃と短刃がある形状(AとC)と芯結び形状(B)があり、いずれも縦切込みが可能です。
シャンク
エンドミルのシャンク形状、種類および特徴を下表に示します。
このうち、フラット付きストレートシャンクとコンビネーションロックシャンクは、主に刃先交換式エンドミルで使います。
シャンクの形状
深彫り加工をするためにシャンクを長くしてあり、加工部の深さに合った突き出し長さにして使用できる。
加工中エンドミルが抜けないように、ねじで固定する平面をつけたもの。
フラット付きシャンクでもエンドミルが加工中に抜けるような場合に用いる。深切込み用の大径エンドミルに用いる。
ロングネックエンドミル
深部の溝加工
テーパーネックボールエンドミル
金型の抜け勾配壁際の深彫り加工
細径エンドミルでの深部の溝加工に用いるが、ボーリング用にも適している。
金型の抜け勾配*のついた壁際の深彫り加工で能率向上に威力を発揮する。
ネック
エンドミルのネック形状、種類および特徴を下表に示します。
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