ミーリング基礎

切削加工における発熱は、切削工具と被削材のぶつかり合い（切りくず生成時の塑性変形）とこすり合い（切りくずとすくい面の摩擦）のエネルギーが熱に変化するものです。切削熱の70～80％は切りくずに持ち去られますが、工具にも10～20％程度残ります。

　切削中に発生する熱は、刃先を軟化させて工具摩耗を促進したり、熱膨張による被削材の寸法変化を招いたりしますが、切削油剤を使用すると、冷却効果により工具や被削材に熱がたまるのを防ぎ、工具寿命の延長や加工精度の維持に寄与します。

　また、薄くて長い板材の切削では、熱によるソリなどを起こしやすいので、水中切削加工（切削油剤のタンク内での切削加工）をする場合もあります。

切りくずとすくい面の間や、逃げ面とワークの間の摩擦界面に浸入し切削油剤の効果を確かにする働きをいいます。切削油剤の一部は切りくずのせん断面に浸入し、せん断を促進させ、被削性を改良します。アルミ合金の切削加工には特に効果があります。

切りくずがすくい面上をスムーズに滑っていけば、構成刃先や溶着は起こりにくく、刃先のトラブルを抑制し、寸法精度も安定します。切削油剤は切りくずとすくい面の間に特殊な潤滑膜を作って、切りくずのすべりを良くし、切れ刃を保護します。