炭素鋼、合金鋼
主な含有物が鉄(Fe)と炭素(C)の2元素であるものを炭素鋼といいます。電車の連結器などに使われています。
炭素鋼に適量の合金元素を添加して、材料を改善したり特殊な性質を与えて、種々の目的に適するようにした鋼のことを合金鋼と呼んでいます。ピッケルやプライヤなどに使われています。
工具鋼
工具鋼と呼ばれているものには、炭素工具鋼、合金工具鋼、高速度工具鋼の3種類があります。工具鋼の条件は、硬くて粘りがあることです。硬くて粘り強くするために、焼入れをして炭素(C)を多くしています。
炭素鋼より炭素を多く(0.6%以上)したものです。熱に弱く、200℃を超すと焼入れによる効果がなくなりかたさが保たれなくなります。
主にニッパの刃などに使われています。
炭素工具鋼の熱に弱い欠点を補うもの、あるいは衝撃に強いもの、熱処理で変形しないもの、熱間使用できるものなどの目的に応じて、炭素工具鋼にいろいろな金属を加えたものが合金工具鋼です。
切削工具用は、かたさをねらったものです。また高温に耐えるように、あるいは耐摩耗性の向上のためにクロム(Cr)、タングステン(W)、バナジウム(V)などを加えたものです。
耐衝撃用は、たがねやポンチなどに使われます。冷間金型用には、変形をきらって油焼入れをするゲージや抜型に使用したり、クロムを多く含有させたもので、常温での耐摩耗性を特に大きくしたものがあります。
一般にハイスと呼んでいて、タングステン(W)系とモリブデン(Mo)系とがあります。これにコバルト(Co)を加えてかたさを上げたものもあります。タングステン系は高温かたさ*が硬いのでバイトに使われ、モリブデン系は粘りがあって衝撃に強く、穴の中で折れては困るドリルに使われています。
特殊用途鋼
今日の産業分野における様々な用途目的に応じて開発された特殊鋼。一般に特殊用途鋼と呼ばれています。
ステンレス鋼のステンレスというのは、stain(よごす、よごれる)にlessを付けたもので、「よごせない、よごれない」という意味です。鉄は錆びてよごれるものという前提に対して、いつまでもよごれない(錆びない)ということです。
ステンレス鋼は、本来は粘りがあり軟らかいのですが、加工硬化*しやすい特性があります。
成分からいうと、13クロムステンレス鋼、18クロムステンレス鋼、18-8ステンレス鋼の3種類に分けられます。
現在ステンレス鋼は細分化しなければ処理できないほど種類が増えています。焼入れするもの、浸炭*や窒化*のできるもの、固溶化処理*のできるもの、快削性*を与えたもの、耐食性、耐熱性を大きくしたもの、溶接性を良くしたものなど、いろいろな要求に応じて成分を少しずつ変えて、それぞれの目的を持った材種が作られています。
高硬度鋼とは、熱処理や窒化処理などを行い、硬度を高めた鋼のことを言います。かたさの目安としては、45HRC*以上のもの指す場合が多いようです。
一般的には、焼入れ鋼、マルテンサイト鋼などと呼ばれる、熱処理された鋼のことを指します。
耐熱合金あるいは、耐食合金は、高温で充分な機械的強度をもち、耐酸化性、耐食性に優れた合金の総称です。
耐熱合金には鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)を主成分とするものが多く、このうちFeを主成分とし、合金濃度*が50%以下のものを耐熱鋼と呼びます。Feが主成分でも合金濃度が50%以上のものや、NiあるいはCoが基の耐熱合金を超耐熱合金あるいは超合金と呼びます。超合金のなかで強度の高い合金はNi基合金が中心となっています。
ばね鋼
ばね鋼は、ばね用に用いる鋼材です。ばねには、熱間成形*と冷間成形*があります。また、形は、コイルばね、板ばね、竹の子ばね、渦巻きばね、皿ばね等いろいろあります。
軸受鋼
軸受とはころがり軸受(ボールベアリング*、ローラベアリング*)のことです。ころがり軸受で必要なことは、硬くて、摩耗しにくいことです。そしてあらゆるところで使われる機械的な要素だけに、安くなければなりませんから、高価な元素は入れられません。
磁性鋼
磁性材には、永久磁石用材料と電磁石用の鉄心材料があります。
永久磁石には、鋳造磁石と焼結磁石との2種類があり、それぞれ鋳造*、焼結*によって作られます。
被削材の分類と用途
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鉄鉱石から銑鉄をつくり、多すぎる炭素(C)や、ケイ素(Si)、りん(P)、硫黄(S)などの不純物、酸素(O)、窒素(N)などのガスを取り除いてできるものを「鋼」といいます。
鋼には、大きく分けて炭素鋼、合金鋼、工具鋼、特殊用途鋼の4種類があります。
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