旋削加工の工具各部の作用

横切れ刃角は、衝撃的荷重の緩和、送り分力と背分力の大きさ、切りくず厚みに影響を与える。

横切れ刃角

横切れ刃角

横切れ刃角による影響

  1. 同じ送り量でも、横切れ刃角を大きくすると、切りくずの接触長さが長くなり、切りくずの厚みが薄くなるので、切削力が長い切れ刃に分散され工具寿命が長くなります。(グラフ参照)
  2. 横切れ刃角を大きくすると、a'の力が大きくなるので、細くて長い被削材では曲りが出ることもあります。
  3. 横切れ刃角が大きくなると、切りくず処理性は悪くなります。
  4. 横切れ刃角が大きくなると、切りくず切削厚みは薄くなり、切りくず幅は広くなるため破断されにくくなります。

前切れ刃角

切削加工した面と工具(の前切れ刃)とが干渉することを防ぐための角度で、通常は5°~15°です。

前切れ刃角による影響

  1. 前切れ刃角を小さくすると刃先強度は増大するが、刃先に熱が発生しやすい。
  2. 前切れ刃角を小さくすると切削抵抗の背分力が増加し、切削中にびびり振動が発生する。
  3. 前切れ刃角は、粗削りでは小さめにし、仕上げ削りでは大きめにする。

切れ刃傾き角

すくい面の傾きを表す角度であり、重切削では、切削開始点の刃先にかかる衝撃が非常に大きく、この応力を刃先先端で受けることをさけるため、切れ刃傾き角を設けて欠損を防止します。この場合旋削で、3°~5°、平削りでは10°~15°が推奨されます。

切れ刃傾き角による影響

  1. 切れ刃傾き角を負角(-)にすると、切りくずは被削材へ、正角(+)にすると逆側へ排出される。
  2. 切れ刃傾き角を負角(-)にすると刃先強度は大きくなるが切削抵抗の背分力が増加し、びびりが発生しやすい傾向になる。