1.切削工具製品のご使用にあたって

切削工具製品のご使用にあたっては、本説明の内容をご周知の上、御社安全教育の一環として作業者全員に周知徹底くださる様お願い申し上げます。

2.切削工具材料の基本的特徴

本カタログで用いる用語の意味

切削工具材料:超硬合金、サーメット、セラミックス、CBN焼結体及びダイヤモンド焼結体、ダイヤモンド電着品、ハイス、合金鋼などの工具材料の総称。

物理的特性

外観:材質により異なる。灰色、黒色、金色等の金属質
臭気:無臭
かたさ、比重:

切削工具材料 かたさ(HV) 比重
ハイス 200-1200 kg/mm² 7-9
超硬合金 500-3000 kg/mm² 9-16
サーメット 500-3000 kg/mm² 5-9
セラミックス 1000-4000 kg/mm² 2-7
CBN焼結体 2000-5000 kg/mm² 3-5
ダイヤモンド焼結体 8000-12000 kg/mm² 3-5
合金鋼 200-1200 kg/mm² 7-9
ダイヤモンド電着品 8000-12000 kg/mm² 3-5

成分

W,Ti,Al,Si,Ta,B,V等の炭化物、窒化物、炭窒化物、酸化物およびこれらに加えて、Fe,Co,Ni,Cr,Moなどの金属成分を含みます。

3.切削工具製品の安全性について

  • 超硬合金製品は、比重が大きいため、大型製品や、数量が多い場合は重量物として取扱いに注意してください。
  • 切削工具製品は、研削加工や加熱すると、粉塵や煙霧(ミスト)が発生します。
    多量に吸入したり、飲み込んだり、目や皮膚と接触したりすると人体に有害な場合があります。
    研削加工する場合は、粉塵やミストが人体に曝露しないように注意し、局所排気装置や保護マスク、保護眼鏡、保護手袋などの使用を推奨します。また、粉塵などが手に付着した場合は、水と洗剤で良く洗ってください。作業場所での飲食はしないようにし、飲食の前には手を洗ってください。
    着衣に付着した粉塵は、振り払わずに、掃除機などで除去するかまたは洗濯をしてください。
  • 超硬合金等の切削工具に含有されるコバルト及びニッケルは人間に対する発がんの可能性が報告されています。又、これらの金属の粉塵やミストとの反復または長期の接触により皮膚、呼吸器官、心臓などに影響を与える可能性が報告されています。
  • 詳細な情報は、弊社が発行するSDSを参照してください。
    SDS=Safety Data Sheet (安全データシート)

4.切削工具製品の取扱い上の注意事項

  • 超硬工具材料は、表面状態により強度が著しく低下することがあります。仕上げには、必ずダイヤモンド砥石を使用してください。
  • 切削工具材料は、非常に硬い半面脆い材料としての特性を持ちます。従って、衝撃や無理な締付けなどで破損することがありますので注意してください。
  • 超硬工具材料は、一般的に金属材料にくらべて熱膨張係数が小さく、焼ばめ、冷やしばめされた製品は、使用温度が設計値と異なり著しく高い(低い)場合、割れが発生することがあります。
  • 切削工具材料は、研削液や潤滑液、その他水分などで腐食すると強度の低下を招きますので、保管状態に十分注意してください。
  • 切削工具製品をろう付けする場合は、ろう材の溶融温度より低すぎたりまたは高すぎたりしますと、脱落や破損することがありますので注意してください。
  • 切削工具製品の再研削加工時に、条件によってはき裂が発生する可能性がありますので、研削加工後にき裂の有無を確認してください。
  • 切削工具製品を放電加工すると、表面に残留き裂を生じ強度低下を招きます。必要であれば仕上げ研削でき裂を完全に除去してください。