アフマディ エコ

The Bonding Structure of the Various High Purity or Binderless Polycrystalline Cubic Boron
Nitride Compacts Sintered at 5 to 7 GPa and 1600 to 2000℃

Akhmadi EKO

抄録

 熱分解BN(pBN)やウルツ鉱型BN(wBN)を7 GPa-2000℃の圧力温度条件下で,立方晶BN(cBN)へ直接変換させてcBN焼結体を作製した。これらの焼結体はcBN-cBNの直接結合構造を持っていることがわかった。また,5.5 GPa-1600℃の圧力温度条件下で,ポリ塩化ビニリデン(PVDC)と共にcBN粉末を焼結し,高純度のcBN焼結体体を作製した。XRD,SEM,TEM による分析およびダクタイル鋳鉄を被削材に用いた切削試験で耐摩耗性評価をした。

 XRD分析結果から,評価した全てのcBN 焼結体は,cBNのみで構成されていた。SEM観察からは,全ての試料がcBN同士の直接結合の構造を持っているがわかり,STEM分析結果から不純物がcBN結晶粒界に存在している事がわかった。不純物量は,BNの出発原料と焼結方法に依存していた。

Abstract

 The cBN-cBN direct bonding structure of some cBN compacts made by the method of the direct conversion of the pyrolytic-BN (pBN) or wurtzite-BN (wBN) to cubic-BN at the pressure of 7 GPa and temperature 2000℃ and the cBN compact made by the method of sintering the cBN powder along with polyvinylidene chloride( PVDC) at the condition of 5.5 GPa and 1600℃ has been studied. The XRD, SEM, TEM analysis and the wear resistance on the ductile cast iron machining has been investigated. While the XRD analysis of the above cBN samples showed that all samples consist only of cBN, and the SEM observation showed that they all have the cBN-cBN direct bonding structure, A STEM analysis showed the existence of the impurities at the cBN crystal boundary. The starting materials and the sintering method affect the degree of these impurities.

1. はじめに
 高純度やバインダレスの多結晶 cBN焼結体の作製において,高圧・高温条件で焼結する方法が広く知られており,例えば圧力7 GPa,温度2000℃条件でのcBN焼結プロセスについては赤石ら1) や角谷2) より報告されている。しかしながら,7 GPa,2000℃の高圧高温は,条件発生のためのコストが高く,実用化は難しいといわれている。

 一方で,これまで5 GPa未満,2000℃未満の焼結条件領域は主にメタルバインダー3, 4) やセラミックスバインダー5, 6)を用いたcBN焼結体の作製に用いられているが,高純度の多結晶cBNを5 GPa,1400℃の条件で作製したことについて赤石らは報告している7)。本報告においては,このような比較的低い圧力・温度条件で焼結を,ポリ塩化ビニリデン(PVDC)等を使用しcBN粉末の表面を洗浄することで可能にしている8)。ここでPVDCは焼結のための昇温昇圧過程において超臨界流体となり,cBN結晶の表面を洗浄することで,cBN結晶同士の直接結合を促進すると考えられる。図1 にcBN・ダイヤモンドの各材料の焼結における温度・圧力条件領域を示す。

 本報告では上記の様々な焼結方法により得られた多結晶cBN焼結体内のcBN-cBN直接結合に注目し,XRD分析,SEM観察,STEM観察で得られた結果を比較する。また,多結晶cBN焼結体のダクタイル鋳鉄の切削における耐摩耗性についても評価を行った。

ものづくり・R&D レビュー 第3号(2014)掲載

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