ニッケル基超耐熱合金旋削加工用材種MP90シリーズと加工事例の紹介
淺沼 英利(Hidetoshi Asanuma)
1.はじめに
近年、飛躍的に増加する航空機およびジェットエンジンの需要により、生産の高能率化が求められている。それらに用いられる材料は、エンジンの高出力化・高能率化によって耐熱性と高強度を兼ね添えた超耐熱合金が主流となっている。超耐熱合金の多くは、鋼などに比べ加工難易度が高く、加工能率が大幅に低下してしまう問題がある。そのため、「難削材」と呼ばれている。その中でもニッケル基超耐熱合金は、その優れた耐熱性・耐腐食性・高強度の特性により、一般的な工具では刃持ちが悪く、それらに対応できる工具が求められていた。
当社では、このニッケル基超耐熱合金旋削加工用材種としてMP9005 / MP9015を2013年に発売して以来、お客様から大変好評をいただいている。より幅広い加工領域でニッケル基超耐熱合金の加工を可能にできるよう開発を進めた「MP9025」を2018年に発売し、MP90シリーズの拡大を行った(図1)。
本稿では、MP90シリーズの特徴と、それらを用いた加工事例について紹介する。
機械技術(2019年 4月号)掲載