山本 匡(Tadashi Yamamoto)

1.はじめに
 アルミより軽く、鉄よりも強い、今後の産業に大きな役割を担う炭素繊維強化プラスチック(以下、CFRP)は、航空機の主要構造部材として着実に信頼性を積み重ねており、その用途は自動車や新エネルギー分野からパソコン筐体やスポーツ用品などの身近な製品にまで急速に普及の一途を辿っている。

 一概にCFRPといっても、用途によって適用される材料は必要な特性に合わせた仕様に設計されており、その素材技術が目覚ましい進歩を遂げていく中で、当社もCFRPの切削加工技術においてお客様の課題を聴き、その要望を満たすべく、2016年秋に航空宇宙部を設立し、よりお客様の近くで製品開発に取り組んできた。

 本稿では、航空機分野の穴加工で難易度の高いCFRPとメタルとの重ね板(以下、スタック)材加工におけるポイントと、その取り組みから得た知見を基に商品化した専用ドリル「MCA」、「MCW」について紹介する。

機械技術(2018年 11月号)掲載

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